新製品開発成功のカギ “三人寄れば文殊の知恵となる方法”

 開発途中で大きなリスクが発生して困っているときに、「解決策は見当たらないと諦めないで、三人寄れば文殊の知恵という諺のように、開発者を集めて話し合って知恵を出そうではないか」という言い方を、開発現場でよく耳にします。この諺のいわれは、「文殊」とは知恵をつかさどる菩薩のことで、凡人でも三人で集まって相談すれば、文殊に劣らないほどよい知恵が出るものだということだそうです。しかしながら、三人のバカが寄ってもバカはバカなので、いくら人を集めて話し合っても解決策を見出すことは難しいと言えます。
 そこで重要なことは、開発当初からプロジェクト遂行の三大要素と言われます工程管理、品質管理、原価管理の適任者を配置することが肝要です。小規模な開発では、開発者の人数も限られていますので、専任者を置くことは難しいでしょう。この場合、開発者ひとりひとりが工程・品質・原価を意識した開発計画を作成し、実施して行く過程で工程・品質・原価を心に収めて置けば、常に自身に問いかけすることができるはずです。この行為を繰り返すうちに、フィードバック現象が成立し強い自分が形成され、いざというときに、三人寄れば文殊の知恵となるわけです。

落合以臣

1952年10月(生) 東京都出身、英国ウェールズ大学大学院修了<br> 役職 株式会社ジョンクェルコンサルティング 代表取締役<br> 講師歴任 早稲田大学 社会科学総合学術院招聘講師<br> 顧問歴任 岩手県陸前高田市 環境浄化顧問、日本テトラポッド株式会社 技術顧問<br> <br> 1975年大手プラントメーカー千代田化工建設株式会社に入社。海外および国内の大型エネルギープラントの設計・建設に従事。1990年退社、1990年6月株式会社ジョンクェルコンサルティングを設立、現在に至る。現在では、建設案件に対応した競争入札の急所から試運転までの効率化を目指したプロジェクトマネジメントの導入、製品開発の可視化・定量化の指導、トレンド予測による製品テーマの創造、環境技術に関する開発などを実践している。<br> <br> 所属学会<br> 日本経営システム学会会員<br> 米国リスクマネジメント協会会員