新製品・新事業テーマの創出 ”新型コロナウィルス・クライシスと新製品開発(2)”
世界経済の後退と企業運営
もう直ぐ終息するだろうと予測していた新型コロナウィルスの猛威は、依然として収まる気配もなく、とうとうオリンピック・パラリンピックの延期までも巻き込んで拡大する一方です。ある意味では、もっとはやく正確な情報が伝わっていれば、これほどまでに広がらずに済んだとも言えます。改めて、正確、かつ迅速な情報を得ることの重要さを身を持って体験していると言えるでしょう。
しかしながら、すでに起きてしまったことをいくら嘆いても元に戻れるはずもなく、むしろ今をどうしたらよいのか、少なくとも明日、明後日、いや半年先ぐらいの立位置を見て、どのような方法を持てば乗り超えることができるのだろうか程度の策は、個人であっても企業であっても考えて実行することが必要と思われます。このようなことは、いろいろな人々によって論じられていますので、当たり前と言われれば当たり前のことなので、大した内容ではありません。
では、”なるほどな”とうなずいてもらえるような方策とは、どのようなことなのでしょうか。それは、新型コロナウィルスの影響を受けて、2019年度決算を前にして、企業業績は軒並み停滞・後退、ひどくは倒産に追い込まれるような状態で、株価も大幅に下がっています。この現象は、新型コロナウィルスの影響が直に響いたと言えますが、よくよく考えて見ますと、好景気に甘んじて、経営者は株主配当を優先するために、着々と含み資産を増やしてきた結果、その株主配当を支える製品価値の重要性を守ってこなったことの「つけ」が、新型コロナウィルスの影響で浮かびあがったと考えるのが、自然ではないかと思う次第です。
言い換えますと、製品価値のあるものないものの棲み分けをしないで、ただただ安住の地を求めて、粛々と売上、利益を伸ばしてきた結果ともいえます。平たく言いますと、筋肉かそれともぜい肉なのかの見分けさえつかない状況になっていたともいえます。
このようなことに鑑みますと、今の状態は人、企業にとっても正しいことを見極めるチャンスなのかもしれません。つまり、筋肉かぜい肉かが明確になったのです。
新型コロナウィルスと新製品開発
この時期は、新型コロナウィルスの影響を受けて低迷しているという、一種の収まれば元の状態に戻るだろという考えではなく、製品価値を見直すことが重要と思います。ずばり申し上げますと、事業戦略を策定するときに、事業戦略を先に策定し、そこに今までの製品を並べる、いわば、事業戦略から製品の品揃えを行うという方法を踏襲するのではなく、5年先、10年先をニュートラルな視点で創造し、そこから生まれる新製品から事業戦略を構築する方法に改めることを期待します。今までの方法を踏襲すればするほどクライシスなリスクに遭遇しますと、今回のような状況に陥ることになるからです。
したがって、5年先、10年先の世情を把握し、そこから新製品となるテーマ創造が重要なカギとなります。つまり、その場過ごしの策を考えてもどうなるものではなく、この時期ほど粛々としたものつくりの方法を見直すべきと考えます。