新製品・新事業テーマの創出 ”世界経済の新生と新製品開発”
世界構造の破綻と幸運の女神
中国武漢で発症した新型コロナウィルスの影響を受けて、はや7ヵ月になろうとしています。この間、世界経済の枠組みは一変し、地図上での国境は線として見えますが、その内側の状況を目に見える形で把握することは困難になったと言えるでしょう。それは、良いか悪いかは別にして、今まで作り上げてきた資本主義社会での構図が、新型コロナウイルスで一瞬のうちに崩壊してしまったからと言っても過言ではないかも知れません。
本来であれば、何の影響であろうと、今までの枠組みが壊れたのであるから、未来に向かって新たな船出をするための準備に取り掛かるのが当然と言えば当然のことでしょう。しかしながら、人間の性(さが)とも言うべきもっとも厄介なDNAは、明日に向かうことに力を発揮することよりも、つい昨日までの仕組みに戻そうとする力の方が遥かに強いと言えます。この人間が持つ、後退的な意思、前進的な意思とでも言いましょうか、その2つが常に葛藤を繰返しながら、最終的には後退的な意思が勝ってしまうことになります。たとえの話として、幸運の女神には後ろ髪がないとよく言われます。つまり、チャンスは女神とすれ違う瞬間に掴まないと、通り過ぎてからでは幸運を掴むことができないというわけです。
世界経済の新生と新製品開発
2021年3月頃から起こるだろうと予測する「世界経済のクライシス」は、1930年代に起きた経済恐慌、2009年のリーマンショックどころではない、つまり、今までに予測が出来ないほどの破壊力を持っていると思います。このことは、予測の域を超えませんが、今の状況を見れば少なからず世界経済のクライシスは到来すると思うのが、自然な成り行きと思います。
こうした予測が、新製品開発とどのように結びつくのかということになります。それは、経済の枠組みと製品は表裏一体であるからです。先ほど、「世界構造の破綻と幸運の女神」の中で、前進的な意思よりも後退的な意思の方が強いと述べました。新製品開発も、それとまったく同じと言えます。大勢の開発者は、イノベーションが重要だ重要だと言いながら、実は安全で分かり切った現状維持の道に戻りたいと常に願っているはずです。しかしながら、新型コロナウィルスの影響で、その場所は存在しなくなったわけです。
言い換えますと、世界経済の新生の到来に向かって、新製品開発もそれに同調するかのように、幸運の女神がすぐ前に訪れようとしています。このチャンスを逃がさないようにしたいものです。