グリーンリカバリー技術 ”CO2削減と企業CSRから国家CSRへ”
英国のEU離脱とFTA締結の過程
英国はEUから離脱し、2020年12月末を期限にEUとのFTA交渉を実施していることは周知の通りです。FTAの詳細な内容は別にして、交渉の過程で大変興味のあることは、英国が主張している漁業権の取扱いで、英国・EU双方ともに譲らないということだそうです。つまり、英国の近海にはフィッシュ・アンド・チップスでおなじみのタラ、あるいはサバが多く生存するために、英国の離脱後もEUに管理されれば、フランスとの取合いになって、英国の食生活に大打撃を与えることになるからだそうです。やはり、大英帝国時代の英国とフランスの戦いが、今では漁業権争いとなっているのでしょうか。
しかしながら、上記にの述べたことはEUからの離脱に関する内容のようですが、よくよく考えて見ますと、英国のEUからの離脱は、運命共同体という一種の馴合い凭れあい所帯から、独立を宣言したことになります。言い換えますと、国家の尊厳をもう一度見直そうという表れのように思います。やはり、大英帝国の威厳をもう一度という国民の総意であるのかもしれません。ある意味では、国家CSR (Country Social Responsibility) とでも言いましょうか、国を上げての戦いのようにも見えます。
EU離脱とグリーンリカバリー
こうした英国のEU離脱の過程を鑑みますと、 2020年6月に英国大手企業・機関206社が、英国政府に対しグリーンリカバリーを求める共同声明に署名したことは、官民が一体となってEU離脱のスプリットを作ったように思います。なぜならば、この署名には英国を代表する小売、製造業、消費財、金融機関や、外資系企業の英国法人が多数含まれているからです。
今日付けの日経朝版(2020年10月18日)で、「脱炭素、企業価値に直結、排出削減、マネー呼ぶチャートは語る」という見出しの記事がありました。内容は掌握しておりませんが、企業が脱炭素を明言するか否かで、企業利益が大きく変動するという内容でした。この記事を読んで、記事の意図するところは別にして、確かに企業活動から排出されるCO2を積極的に処理ないし消失させる、いわゆるゼロミッションを励行しようとする企業でなければ、投資をしないという判断が台頭するという考えには賛成です。しかしながら、日本の企業は何のかんのといいながら、日本国の加護の元に成長してきたと言えます。つまり、企業の総意からではなく、国家から援助を与えた賛同だからです。
このような状況の中で、CO2削減を企業のCSRに入れるべきと叫んだところで、笛吹ども踊らずと言ったところでしょうか。しかしながら、そうしたCSRの企業観から国家観へ変えたのが、英国のEUの離脱であったのではないかと思われます。英国は、グリーンリカバリーを企業CSRから国家CSRへと見事に移し替えたと言えます。この背景には、CO2削減の確固たる技術があったからと言えます。弊社が開発したCO2分離・削減の技術もそのひとつかも知れません。
是非、日本の企業も自社のCO2排出削減をCSRに上げることに満足せず、国家CSRに貢献できるような技術開発に挑戦して行くことに期待したいと思います。