グリーンリカバリー技術 ”脱炭素化とCO削減の行方”

キャッチフレーズとしての脱炭素化

 今年の3月頃までは、どこの企業も脱炭素・脱炭素、そのためには水素が一番であると声高々にアピールしていました。しかしながら、決算時期の5月にさしかかりますと、脱炭素化というキャッチフレーズの声は、一段と低くなったと言えます。おそらく決算説明会が無事終了し、7月頃から再び脱炭素化の叫びがあちらこちらで、聞こえるようになるのではないかと思われます。
 こうした状況は、脱炭素化ということだけでなく、過去にも同様な現象が起きてたはずです。しかしながら、脱炭素化はまったなしの状況下にあって、プロパガンダではもはや通じない世界環境になっているといえます。水素は、確かにクリーンを構成する代表的な物質であることは間違いありません。一方では、高価という領域を大きく超えるとも言われています。ただ、長い年月を経て人類そのものが吐き出してきた二酸化炭素というゴミを処理するにあたって、それなりの対価を支払うことは、当然といえば当然なことかも知れません。

脱炭素化とCO2削減の行方

 こうした状況に鑑みた場合、そうは言っても採算性を度外視することは、現代社会において、あるいは企業運営においてもできない相談になってしまうと思われます。したがって、重要なことは採算性を見極めたうえでの二酸化炭素の削減方法を見出さないと、本当の脱炭素化への道を進むことができないのではないかと思う次第です。
 とかく我々日本人は、複雑化した技術を好み、単純な技術を敬遠する習性があります。それは、複雑であればあるほど高貴人である・高価なものであるという、一種の特権階級的な意識を持ち続けているからといえます。脱炭素化を本当に進めるためには、そうしたタガをはずすことから始めることが必要とあると思います。そのためには、脱炭素化でいえば技術の基本的な構成を精査しつつ、脱炭素という大局、いわば技術と脱炭素化の両輪として見て行くことが重要であると思います。

落合以臣

1952年10月(生) 東京都出身、英国ウェールズ大学大学院修了<br> 役職 株式会社ジョンクェルコンサルティング 代表取締役<br> 講師歴任 早稲田大学 社会科学総合学術院招聘講師<br> 顧問歴任 岩手県陸前高田市 環境浄化顧問、日本テトラポッド株式会社 技術顧問<br> <br> 1975年大手プラントメーカー千代田化工建設株式会社に入社。海外および国内の大型エネルギープラントの設計・建設に従事。1990年退社、1990年6月株式会社ジョンクェルコンサルティングを設立、現在に至る。現在では、建設案件に対応した競争入札の急所から試運転までの効率化を目指したプロジェクトマネジメントの導入、製品開発の可視化・定量化の指導、トレンド予測による製品テーマの創造、環境技術に関する開発などを実践している。<br> <br> 所属学会<br> 日本経営システム学会会員<br> 米国リスクマネジメント協会会員