新製品・新事業テーマの創造 ”テーマ創造とフロント・エンド・ローディング”

新型コロナウイルスの影響による競争力・品質力の減退

人間は、応用力が豊富であると言われていますが、実際には困っていることに直面しますと、大きく視野を広げることができにくく、近視眼的に物事を見る傾向にあると言えます。中には、思考能力が停滞してパニックに陥る人もいるでしょう。筆者も同様な状況に陥ったことを幾度となく経験し、年を重ねてもその呪縛から逃げることが出来ません。

少し乱暴な言い方をすれば、半世紀かけて築き上げてきた競争力、品質力を、新型コロナウイルスの影響を受けて、混乱した新製品開発プロセスが横行していると言っても過言ではないでしょう。開発者にとっては、事業価値を創造し、真に実現して市場の支持を受け続けるには連動的事業プロセスの実現がポイントになるはずです。そのようなプロセスを構築して初めて熾烈な競争を勝ち抜くことができると言えます。開発現場における混乱や無理難題、その結果の供給者を巻き込んだ疲弊の多くは、技術開発、製品開発、供給プロセスを一貫した連動的事業プロセスを構築する経営を目指すことなく、目先の競争に振り回されて起こるといえるのではないでしょうか。開発プロセスを基点とする連動的経営を実現する仕組み、支援が重要な課題になってきます。

テーマ創造とフロント・エンド・ローディング

連動的経営を実践するには、フロント・エンド・ローディングとの係わりがキーポイントになります。フロント・エンド・ローディングという考え方は、さして目新しいことではありません。混沌とした新製品開発を進めてきた経験を持っていれば、同様な場面で繰り返す課題について、開発当初に開発におけるリスクを抽出すればいいと誰もが思いあたるはずです。しかしながら、いざ実施しようとすれば、様々な軋轢を受けるために、開発意欲が徐々に後退することになります。

フロント・エンド・ローディングは、当然のことを当然のことのようにすることであり、実施すれば経営を連動することになります。それを支えるのか新製品のテーマ創造であると言えます。テーマ創造は単なる思いつきではなく、探り出したテーマを愚直に作り上げていくことであるということです。この愚直にという言葉を実践で試していくことも重要なことと思います。

落合以臣

1952年10月(生) 東京都出身、英国ウェールズ大学大学院修了<br> 役職 株式会社ジョンクェルコンサルティング 代表取締役<br> 講師歴任 早稲田大学 社会科学総合学術院招聘講師<br> 顧問歴任 岩手県陸前高田市 環境浄化顧問、日本テトラポッド株式会社 技術顧問<br> <br> 1975年大手プラントメーカー千代田化工建設株式会社に入社。海外および国内の大型エネルギープラントの設計・建設に従事。1990年退社、1990年6月株式会社ジョンクェルコンサルティングを設立、現在に至る。現在では、建設案件に対応した競争入札の急所から試運転までの効率化を目指したプロジェクトマネジメントの導入、製品開発の可視化・定量化の指導、トレンド予測による製品テーマの創造、環境技術に関する開発などを実践している。<br> <br> 所属学会<br> 日本経営システム学会会員<br> 米国リスクマネジメント協会会員