グリーンリカバリー技術 ”脱炭素化とその証明”

脱炭素化を担保する方法

 おおよそ数十年前に、政府が音頭をとって電力会社と電機メーカーとの間で、マイクロガスタービンの開発が盛んに行われたことを思い出します。この開発の背景には、 大型ガスタービンが建設できない場所、例えば、工場、ホテル、大規模店舗などで、自家発電として利用し、電力の自由化を視野に、環境監査をしやすくするということが目的でした。しかしながら、 ガスエンジン、ディーゼルエンジンと比較した場合、発電効率が悪いという理由と、当時、米国の カリフォルニア州での厳しい排ガス規制によって、電気自動車、ハイブリッド車の思想が芽生えたために、いつの間にかマイクロガスタービン開発の熱が冷めてしまったといえます。

 その後、環境汚染がクローズアップされる中で、NOxの排出量がガスエンジンより少ないという理由でマイクロガスタービンが見直され、現在に至っていることは周知の通りですが、当初の目的とは大きくかけ離れていると言えます。
 こうしたことに鑑みますと、脱炭素化という人類史上大きなインパクトの最中、脱炭素化と同時に、それを担保する方法をどのように構築していくのかということが重要になります。平たく言えば、一種のモニタニングという平凡な言葉になってしまいますが、そのモニタニングの正しさをどのような方法で証明していくのかということになります。

脱炭素化とその証明

 今後は、脱炭素化を推進して行く中で、その証明の方法がクローズアップされると思います。過去は戻ってきませんが、そのひとつ方法として、マイクロガスタービンが普及していれば、どのほど脱炭素化に役立つことができたのだろうかと思う次第です。ある意味では、脱炭素化だから、あれをやめよう、これを撤退しようではなく、普遍的な技術開発を中心に置くような経営姿勢が重要で、特に、先進国の企業に課せられた命題と思います。

 言い換えますと、10年先を見た振りをし、その時になって役立つのかどうかという議論を後回しにした技術開発は、脱炭素化の証明にはならないということです。

落合以臣

1952年10月(生) 東京都出身、英国ウェールズ大学大学院修了<br> 役職 株式会社ジョンクェルコンサルティング 代表取締役<br> 講師歴任 早稲田大学 社会科学総合学術院招聘講師<br> 顧問歴任 岩手県陸前高田市 環境浄化顧問、日本テトラポッド株式会社 技術顧問<br> <br> 1975年大手プラントメーカー千代田化工建設株式会社に入社。海外および国内の大型エネルギープラントの設計・建設に従事。1990年退社、1990年6月株式会社ジョンクェルコンサルティングを設立、現在に至る。現在では、建設案件に対応した競争入札の急所から試運転までの効率化を目指したプロジェクトマネジメントの導入、製品開発の可視化・定量化の指導、トレンド予測による製品テーマの創造、環境技術に関する開発などを実践している。<br> <br> 所属学会<br> 日本経営システム学会会員<br> 米国リスクマネジメント協会会員