グリーンリカバリー技術 ”CO2削減量の数値化”

脱炭素化と”いま、ここにある危機”

 今年に入ってから、脱炭素化に向けての動きが活発になってきました。特に、この時点における脱炭素化よりも、2050年という長い年月を見越しての技術開発と言えます。技術の進歩においては、大変頼もしいことではありますが、1994年に米国で公開されたハリソンフォードさん主演の「いま、そこにある危機」を引用すれば、”いま、ここにある脱炭素化の危機”とでも言いましょうか、一体誰がどのような方法・技術を持って立ち向かうのでしょうか。もちろん、30年先を論じることも重要なことではありますが、現実をどのようにしていくのか、どこまで脱炭素化を進めることができるのか、また、それらをどのような方法で可視化して立証していくのかなど、30年先を見るよりもはるかに重要で難しいことではないでしょうか。

CO2削減量の数値化

 こうしたことに鑑みますと、脱炭素化を進めるうえで、立証のひとつの方法として、経済産業省が推進している 国間クレジット制度 (JCM:Joint Crediting Mechanism ) という方法論を上げることができます。
  JCM は、途上国と協力して温室効果ガスの削減に取り組み、削減の成果を両国で分け合う制度です。今までに、 モンゴル、バングラデシュ、エチオピア、ケニア、モルディブ、ベトナム、ラオス、インドネシア、コスタリカ、パラオ、カンボジア、メキシコ、サウジアラビア、チリ、ミャンマー、タイ、フィリピンの国々と署名し、脱炭素化を進めています。
 JCMは、CO2排出削減見込量を計算式で試算し、試算した結果を実際の測定値とマッチングさせて行くことで、本当の脱炭素化を実行する方法論と言えます。言い換えますと、脱炭素化を目指した可視化の方法論とも言えるでしょう。この方法論を途上国だけでなく、先進国も含めた世界共通の脱炭素化の方法論になればと思います。

落合以臣

1952年10月(生) 東京都出身、英国ウェールズ大学大学院修了<br> 役職 株式会社ジョンクェルコンサルティング 代表取締役<br> 講師歴任 早稲田大学 社会科学総合学術院招聘講師<br> 顧問歴任 岩手県陸前高田市 環境浄化顧問、日本テトラポッド株式会社 技術顧問<br> <br> 1975年大手プラントメーカー千代田化工建設株式会社に入社。海外および国内の大型エネルギープラントの設計・建設に従事。1990年退社、1990年6月株式会社ジョンクェルコンサルティングを設立、現在に至る。現在では、建設案件に対応した競争入札の急所から試運転までの効率化を目指したプロジェクトマネジメントの導入、製品開発の可視化・定量化の指導、トレンド予測による製品テーマの創造、環境技術に関する開発などを実践している。<br> <br> 所属学会<br> 日本経営システム学会会員<br> 米国リスクマネジメント協会会員