グリーンイノベーション 「”津波で“すべてがなくなった場所”から始まった技術開発」
昨日の 3.11 を振り返りながら、改めて自分の原点について考える時間を持ちました。
今、私が取り組んでいる技術開発やプロセス設計、そして炭素フローの体系化に至るまでの歩みは、すべて 約30年前、陸前高田市・古川沼での底泥改善の技術開発から始まったのだと、あらためて感じています。
3.11の震災直後の古川沼の周辺は、「流された」という言葉では到底足りませんでした。津波によって、そこにあったものがすべて失われていました。建物も、生活も、風景も、人の営みも、またたくさんのお世話になった人が、一瞬で姿を消していました。その場所に半年間住み続け、厚く堆積した底泥、濁り、匂い、季節の移ろい、そして土地が抱えていた痛みを身体で受け取りながら、底泥を改善するための技術を一つずつ積み上げていきました。あの経験が、私の技術観と、現場に向き合う姿勢のすべてを形づくったと感じています。
あれから約30年が経ち、現在扱っているテーマは CO₂ 吸収、CNP 生成、準グラフェン化、固定化へと広がりました。しかしながら、根底に流れている問いは変わりません。
「人の生活と土地を守るために、技術はどうあるべきか」
という問いです。
昨日は、CO2の吸収・固定化までの一貫した統合的数理モデルが完成しました。技術的にも実務的にも、次の段階へ進む準備が整いつつあります。
その一方で、こうした前進のすべてが、古川沼で泥に手を入れた日々から始まったという事実は、今も変わりません。3.11 の翌日に、静かに原点を思い返すことができるのは、あの土地と、あの時間が今も自分の中で生き続けているからだと感じています。