グリーンイノベーション ”電気絶縁性を損なわずに、熱の流れを制御できるのだろうか?”
AI時代の半導体パッケージを支える、新しい界面設計への問い
AIの進化に伴い、半導体にはこれまで以上の高性能化が求められています。演算能力が高まれば、その一方で発熱という課題も大きくなります。そこで重要になるのが、「いかに熱を逃がすか」という熱マネジメントです。しかしながら、ここには一つの難しい問題があります。半導体パッケージに使われる絶縁材料には、当然ながら高い電気絶縁性が求められます。そのため、単純に熱伝導性の高い導電材料を加えればよい、というわけではありません。そこで我々は、少し視点を変えて考えています。
材料そのものの熱伝導率を高くするのではなく、界面を設計することで、熱が流れる方向を制御できないか。
つまり、電気は遮断する。しかしながら、熱は必要な方向へ移動させる。という考え方です。
「材料」から「界面」へ
これまで高熱伝導材料として、グラフェンをはじめとする炭素材料について多くの研究が行われています。一方、グラフェン系熱界面材料では、高い熱伝導性を得ながら電気絶縁性を維持することが重要な研究課題の一つになっています。ここで重要なのは、単に「熱をよく伝える材料」を探すことではないと考えています。必要なのは、どこに配置し、どの方向へ熱を流し、どこでは電気を遮断するのか。材料単体ではなく、界面全体を一つの機能構造として捉えるという発想です。
CO₂から得られる炭素材料
我々は現在、Carbon Nexus Process(CNP)によって、CO₂から得られる炭素材料の機能化を研究しています。その研究の延長線上にあるのが、CO₂由来炭素材料を、次世代半導体の「機能性界面」として使うことはできないか。という問いです。この段階で重要なのは、炭素材料を単純に絶縁材料へ混ぜることではありません。絶縁材料が担っている本来の機能を維持しながら、別の場所に炭素材料の特性を生かした界面を構築する。そして、熱を必要な方向へ導く。その可能性を考えています。
CO₂とAIインフラをつなぐ
この考え方をさらに広げると、一つの循環が見えてきます。
CO₂
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CNP
↓
CO₂由来機能性炭素
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熱・界面制御
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半導体パッケージ
↓
AIインフラ
CO₂を単に固定するだけではありません。CO₂を新しい機能材料へ変換し、その材料がAI社会を支える半導体技術へ戻っていく。これが実現すれば、CNPは「CO₂処理技術」から、CO₂を起点とした機能材料創出技術へ、さらに一歩進むことになります。
小さな材料の問いから、大きなシステムの問いへ
まだ答えが出たわけではありません。だからこそ、研究する価値があります。電気絶縁性を損なわずに、熱の流れを制御できるか。そして、その界面を、CO₂から生まれた炭素材料によって構築できるか。材料の世界では小さな問いかもしれません。しかしながらAI、半導体、エネルギー、そしてCO₂資源化までつなげて考えると、それはもう少し大きな問いになります。
我々は、CNPの次の可能性として、この「界面」に注目しています。