新製品・新事業テーマの創出 ”新製品開発のQCDとDX戦略”
新製品開発の課題
新製品開発の問題・課題として多くあるのは、スケジュールが押し詰まった段階で、大きなリスクが露呈し、そのリスクを回避する方法として、顧客に迷惑をかけることはできないということを大義名分に掲げ、当初の開発計画には予測していない人・物・金を大量に投入して、何とかスケジュールを順守するという苦い経験を多くの新製品開発現場で見てきました。
QCDとDX戦略の事前準備
こうした経験的な実話について、新製品開発のQCD(品質・コスト・納期)の観点からDX戦略の事前準備として具体的な事象を整理しました。
納期の観点から見れば、設計のワークボリューム算出で、何をいつまでにすべきか、いくらで、などが明確になっていないために、新製品開発プロジェクト参加者全員が工程を死守するという感覚が弱いという現象が多々あります。その背景には、製品・商品企画の内容が曖昧なうえに、R&Dのうち、Rに相当する部分とDに相当する部分について、それぞれの要素技術の整理が不十分であることが起因していると言えます。
コストの観点から見れば、設計変更が多く、また一部の金型製作会社に集中しているために、スケジュールに支障をきたし結果的にコストが大幅にアップすることになります。その背景には、スケジュールで述べた内容に加え、購買・調達・資材部門と設計部門との間でリスクの共有ができないからと言えます。また、新製品開発マネジメントの観点から見れば、それぞれが独立したような部門になっているために、最初の段階から総合力を発揮できる状況を十分につくり出すことができないとも言えます。
品質の観点から見れば、製品・商品企画の段階から上市までの道程を可視化されていないために、部品性能評価が曖昧または何をどのようにチェックしたら良いのかというリストが作成されていない。そのために新規製作部品について、従来のような品質管理手法に基づいて実施することが多く、新たな品質をチェックする仕組みが用意されていないと言えます。そのために、最終段階になって発注した金型および新規部品が出来上がった状態で品質管理の悪さが露呈しその対策に翻弄されることが多いと言えます。その背景には、品質管理としてのチェックを実施する開発エンジニアの資質に依存するために、標準的な品質管理方法を身に付けていない開発エンジニアによる杜撰なチェックが、最終段階にきてそのリスクが露呈するからと言えます。
QCDとDX戦略
では、DX戦略の事前準備として、新製品開発の課題をQCDの観点から整理した内容を、どのようにしたら新製品開発のDX戦略になるのでしょうか。それは、それぞれの企業で、新製品開発を実施してきた過程を通して、膨大な問題点、課題などのデータを持っていると思われます。それらのデータを「事象」と捉え、そのひとつひとつの事象がQCDの中でどこに関係するのか、次にQCDに振り分けられた事象を整理し、それらの対応策を導き、その対応策をDX化して、最終的にDX戦略として位置付けることです。