新製品・新事業テーマの創出 ”新製品開発に必要なDX戦略”
DX推進指標とビジョン
経済産業省の「DX推進指標」によれば、DX戦略を実行に移して成果を上げるためには、経営方針の中にビジョン、推進体制、人材育成の3つを柱として、企業自身がオーソライズしたものでないと実行力が伴わないと明言しています。つまり、DX化というブームにかじりつく一時の目論見ではなく、企業としての本気度を表しなさいということでしょう。しかしながら、ビジョンが決まれば、それを推進して行く体制、人材の育成方法も決まりますが、ビジョンをどのようにして決めればよいのでしょうか。
経済産業省のDX推進指標から離れて、ビジョンについてその本質を探って見たいと思います。ビジョンの中には大きく分けて、トンネルビジョン、盲目的ビジョン、先見性の欠如、幻影など4つのビジョンがあると思います。
トンネルビジョンは、現在の市場の外側にある脅威や将来性を予見できず、企業が特化している分野では動きを加速することができますが、その周辺にあるビジョンを軽んじるというものです。
盲目的ビジョンは、周りを見ないで突き進む、あるいは、夢遊病者のようにふらふらしている企業は、前方に壁があることに気づかないことが多く、前方に何があるかを示すビジョンがないというものです。
先見性の欠如は、すぐに役立つ戦術的な経営を得意としますが、自社の優位性を生かすことによって、大きなビジネスチャンスに恵まれることや、近いうちに自身を脅かす企業が現れることに気づかないというものです。
幻影は、将来をじっくり展望し、興奮するようなビジネスチャンスを見つけたかと思ったら、後でそれが蜃気楼のような幻影であったというものです。
いずれにしても多くの企業は、手前勝手な売上げ利益などの数値併せに翻弄して、それを達成するための効果的実施内容が示されていないことが多く、逆に効果的に作用するはずのビジョンが、いつの間にか有害ビジョンになってしまうことが多いと思います。
新製品開発に必要なDX戦略
言い換えますと、DX戦略を新製品開発に本気で取り入れようとするのであれば、何をDX化したいのか、そのためにはどのようなものを用意すべきなのかなどから始め、それが出来上がったところで、ビジョンが見えてくると思います。したがって、ビジョンを作ることが先ではなく、そのビジョンのコアとなるものを明確にすることが重要であると思います。