プロジェクトマネジメントの急所 “エンジニアリングの勘所”

エンジニアリングコントロールとは?

エンジニアリングコントロールは、プロジェクトマネジャーが選任され実際のジョブがスタートした時点から、エンジニアリングに関する全てのドキュメントを管理し、効率のよい設計・施工を行うものです。エンジニアリングコントロールの“勘所”は、プラント建設のみならず他業種にも同様に生かすことができ、主にプロジェクトのキードキュメントはどこにあるかを見つけだす、ドキュメントの提出期限を守る、キーMeetingをきちんと行う、ドキュメントの品質管理を徹底するなど、4つの点を実施することによってプロジェクトを効率よく運用することができます。

エンジニアリングの勘所

もう少し詳細にみますと、キードキュメントについては、建設案件、製品開発、ソフトウェアー開発に係わらず、必ず何がしかのフローを描くはずです。フローが書けない場合にはプロジェクトを遂行することができず、仮にプロジェクトを実施しても目的にあったEngineering Specification(技術仕様書)及びProcedure(設計規程)を作成することができないために、プロジェクトの抱えるリスクを増大させることになります。逆に、プロジェクトリスクを軽減するためには、フローを明確にすることから始まるとも言えます。

ドキュメントの提出期限を守るでは、確実な工程表を作成しドキュメント内容と提出期限を記入することによって、ドキュメントの提出期限を守らせることが肝心です。この守らせるためには、「やってくれるだろう」という安易な考えは捨て、日ごろの進捗状況のチェックが必要となります。これは、プロジェクトメンバーだけでなく、外注、協力会社、ベンダーにも適用でき、場合によってはExpedition(督促)も適時行なうことも必要となります。また、外注、協力会社、ベンダーへ適用する場合は、契約書にもドキュメント内容と提出期限を記入することによって工程の遅れをチェックすることができると同時に、改めて作成・報告のための追加費用を請求されなくて済むはずです。

キーMeetingをきちんと行うでは、一般的にプロジェクトスタート時では役務範囲による相互の関係が強くならないために、役務範囲ごとにいわば独立独歩で作業していることが多いと言えます。このようなときには、キーMeetingを行なうことが少ないので、各エンジニアが抱える課題を可視化・定量化することをしないと言ってもいいかも知れません。特に、ドキュメントの品質管理を徹底することに大きく関連し、Check List、Hold Mark(未確定データ)、Hold Release Control (未確定から確定へ)などのコントロールができにくいと言えます。

このように、エンジニアリングマネジャーは、上述した勘所を働かせながらコントロールにあたることが肝要です。

落合以臣

1952年10月(生) 東京都出身、英国ウェールズ大学大学院修了<br> 役職 株式会社ジョンクェルコンサルティング 代表取締役<br> 講師歴任 早稲田大学 社会科学総合学術院招聘講師<br> 顧問歴任 岩手県陸前高田市 環境浄化顧問、日本テトラポッド株式会社 技術顧問<br> <br> 1975年大手プラントメーカー千代田化工建設株式会社に入社。海外および国内の大型エネルギープラントの設計・建設に従事。1990年退社、1990年6月株式会社ジョンクェルコンサルティングを設立、現在に至る。現在では、建設案件に対応した競争入札の急所から試運転までの効率化を目指したプロジェクトマネジメントの導入、製品開発の可視化・定量化の指導、トレンド予測による製品テーマの創造、環境技術に関する開発などを実践している。<br> <br> 所属学会<br> 日本経営システム学会会員<br> 米国リスクマネジメント協会会員