新製品・新事業テーマの創出 ”COVID-19収束後の新製品開発”
DX化とセル生産方式への回帰
ニュートラルな視点でのトレンド予測から、COVID-19の収束後の消費者ニーズを見ますと、しばらくは小規模社会・組織の台頭と考えられ、この世情から創造できるテーマは、少なくともマス社会で形成された大量生産から生まれる製品では対応できないのではないかと思います。
この要因を満足させるためには、消費者ニーズを優先し多品種少量や変種変量といった需要の変化に対応するフレキシビリティを持った生産ラインの構築が必要と思われます。これを達成するためには、古典的な方法ではありますが、一部セル生産方式に回帰することが考えられます。セル生産方式は、屋台方式とも呼ばれひとりや少人数単位で組み立てを行う生産方式であることは周知の通りです。しかしながら、従来のセル生産方式では、多元・多様化した消費者ニーズには製品供給が間に合わないのではと思います。したがって、異なる製品を扱えるセル生産方式、つまりDX化したセル生産方式がひとつの解決策になり得るのではないだろうかと思う次第です。
その場合、生産される個数は数千個の範囲にとどまり、マス生産のようにコストダウンを追及することはできにくいでしょう。また、現在の量販店での販売方式には当てはまらないかもしれません。しかしながら、ニュートラルな視点でのトレンド予測から世情を把握し、消費者ニーズを先取りした製品であれば、コストダウン競争に引き込まれることなく、適正価格の製品を作り出すことができるはずです。
COVID-19収束後の新製品開発
このようなことに鑑みますと、マス生産から小規模生産への一部転換は、製品開発そのものの考え方、販売方法、広告宣伝方法などを少なくとも根本から変える起爆剤になるのではないでしょうか。ここ20年、日本の製品開発はQCDを追及しながら、実はDを守るためにQとCを犠牲にしてきたといっても過言ではないでしょう。また、開発現場では過酷な開発を余儀なくされ、心身共に疲弊しているともいえます。
こうした状況の中で、強い製品を作り出すためには、開発エンジニアのモチベーションを高めることが重要であり、その動機付けがテーマ創造から製品開発へと連動し小規模生産への転換をさせることであると思われます。