グリーンリカバリー技術 ”脱炭素化の実践と国際舞台での排出権取引”
我が国独自の排出権取引
我が国独自の排出権取引は、政府が認証したクレジットの一部を年2回の入札を通して、企業向けに売却していることは周知の通りです。8月(4月実施分)に公表されました最新の入札状況では、再エネクレジットがトン当たり2,536円(平均値)で、2020年6月の入札時に比べて34%増であったとのことです。この増加の背景には、個人向けの太陽光発電設備補助事業で産み出されたクレジットが功を奏したようです。しかしながら、本来のクレジットは、売り手と買い手との相対取引での売買であるために、国内でのクレジット創出事業自体が限られているので、例えトン当たりの価格が上昇しても排出権取引としての市場への供給は見込まれないと言えます。
一方、EU排出権取引(EU-ETS)価格は、2021年5月に50ユーロ/t-CO2(1ユーロ=130円)となり、日本円換算で6,500円を超えました。この背景には、2020年12月の首脳会議で、EUが2030年の温室効果ガス排出量削減目標を55%としたことにあると言えます。
脱炭素化の実践と国際舞台での排出権取引
こうように、我が国独自の排出権取引と国際舞台と言えるEU排出権取引の現状での価格差を見ますと、我が国の排出権取引価格は、EUの1/3程度であることがわかります。この数値だけで、我が国が打ち出した脱炭素化の行方を言及することはできませんが、少なくとも企業が率先して脱炭素化を推進するかと言えば、推進するための機動力とでも言いましょうか、脱炭素化は儲かるという仕組みができてないと言えます。
こうしたことに鑑みますと、脱炭素化をより強く推し進めるためには、早く国際舞台へ移行するための方策が必要と思います。それは、本当の脱炭素化を担保する本当の技術であると言えます。