グリーンリカバリー技術 ”エネルギー価格の高騰と無常の脱炭素化”
COP26の本当の成果
COVID-19の影響を受けて、1年の延期を余儀なくされたCOP26は、紆余曲折を乗越え、11月13日に合意文書を採択し、無事閉幕したことは周知の通りです。最終的には、CO2排出の諸悪の根源とされたいた石炭火力の段階的な廃止という言葉から、 段階的な削減に修正したものの、石炭をエネルギー源とする政策を根本から見直すという合意がなされたと言えると思います。今までのCOPでの合意を見れば、これほどの成果をもたらした気候温暖化防止会議は、初めてと言っても過言ではないでしょう。それは、COPでの合意事項を何一つ順守しようともしなかった発展途上国の大国である中国が、「廃止」という文言(もんごん)について、最後までこだわり、辿り着いた 文言 は「削減」であったからです。それだけ中国は、政治的にも経済的にも諸外国から包囲され、今までのように、約束事を簡単に放棄すれば、大きなしっぺ返しがくることを身を持って経験してきたからと言えます。
エネルギー価格の高騰と無常の脱炭素化
しかしながら、COP26開催の数カ月前から、天然ガス市場、特に冬場に向けて、下記図に示すように、EUを中心にLNG価格の高騰が起きました。 この天然ガス価格の高騰を受けて、EU諸国では石炭火力へ戻るという意思表示を行い、フランス政府は原子力発電の建設を再検討するという発表をしています。
こうしたCOP26開催の矢先に起きた現象は、何を意味するのであろうかと思う次第です。 それは、COPの主テーマでもある脱炭素化は、長い歴史を刻む過程で起きた不測のリスクを、この先起こると思われるいろいろな困難な状況に陥っても、粛々と超えるための努力を惜しんではいけないという、一種の「無常の脱炭素化」とでも言いましょうか、SDGs「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)作りであると言えるのかも知れません。