新製品開発の可視化・定量的リスク評価 ”開発現場での疲弊”
製品開発の原点は、顧客ニーズの多様化に迅速に対応しつつQCD(品質・コスト・工程)を限りなく追及するということです。しかしながら、現在の製品開発の実態を見ますと、到底厳守できない目標を掲げているために、QCDを厳守できない状況に陥り、顧客に迷惑をかけてもさして反省もしない企業環境になっていると言っても良いでしょう。まさに、“製品開発の断末魔”といえると思います。
こうしたことに鑑みますと、日本の強さはひとえに製品力、深堀しますとどこにもない新たな製品、あるいは一工夫を加えた製品、誰にも負けない品質のよさであり、それらが世界を圧倒してきたといえます。筆者自身も新製品開発を現場で共に実施していますが、開発エンジニアに何か異変が起きているという場面に遭遇することが多くなりました。その異変とは何なのだろうかと思いつつ、今になってわかることは、売れる製品になっていないということから起きる精神力の弱さだと思われます。これは、単純明快な答えでありながら、その解決の処方箋をつくることは難しいかもしれません。ある意味では、用意周到に“念には念を入れて”の開発では、そのような異変など決して起こりえないことだと思います。では、開発現場でエンジニアに異変が起きていて、仮にその原因が精神力の弱さだとすれば、その解決はどのようなものなのだろうか。それは、筆者の経験から生まれたもので、これが最良といえませんが、開発のプロセスを粛々と実施する訴求テーマと開発の過程で起きる葛藤、つまり感情的な要因を徹底して排除するという方法です。簡単に述べますと、新製品開発の過程を徹底して可視化・定量化を行うことであると言えます。