新製品・新事業テーマの創出(新価値の創造) ”新型コロナウイルスと新価値の到来”
ヒューリスティック問題設定法
かなり昔(1993年)になりますが、早稲田大学教授であった常田稔先生の研究に、「ヒューリスティック問題設定法の開発」と題した発表を思い出します。この研究は、経営管理の問題について、その解決を試みようとすれば、問題解決のための問題設定に困難さを生じ、解決するためのアルゴリズムの開発が不可能であると結論付けました。そして、そのアルゴリスミックな方法を目指さないとすれば、どのような考え方に基づき、どのような事を手掛かりにし、どのような方法を開発すべきかを論考し、ひとつの新たな提案をしました。
この研究の結論は、問題解決をする場合、何がしかの兆候、あるいはきっかけを捉え、そこから問題解決のアルゴリズムを作成して、解決へと誘導していくが、実際は当事者が自ら状況に問いかけた時に問題を設定することができると述べています。つまり、問題の真実は当事者が一番良く知っているということでしょう。
新型コロナウイルスと対峙法
中国武漢から発症した新型コロナウイルスの対峙法について、一番良く知っているのは発症源となった中国と思います。しかしながら、その対峙法の処方箋を作り出す能力を持ち合わせていなかったことに、発症を拡大した原因と思われます。つまり、 ヒューリスティック問題設定法のように、 何がしかの兆候、あるいはきっかけを捉えようと、種々な国々が奔走したことが、逆に感染拡大したと思います。今から思えば、問題解決のための問題設定を、WHOが中国と一緒になって情報を隠蔽しようが、中国武漢からコロナの変形として発症したと限定すれば、違った状況になったかも知れません。
言い換えれば、中国はもちろんですが、発症以外の論争を引き起こし、その論争にかまけているうちに、問題設定と解決法を間違えてしまったと言えます。
新価値の到来と新製品開発
過去は過去として、この先を見通せば、新型コロナウイルスの影響による世界経済の疲弊といいますより、世界経済の危機が訪れることは間違いないと思うのが当然のことでしょう。であれば、経営者の方々は、自らの責任と思い、現状の企業運営の問題点を自身に問いかけ、そこから問題設定し、問題解決の方法を考案すべきと考えます。まさに、経営者の新価値創造となるのでしょうか。
また、未曽有のクライシスである新型コロナウイルスの発症が、人類にもたらした大きな挑戦を乗越えるためには、単なるテーマ創造によって新製品開発が生れるのではなく、企業そのものの新価値の創造のうえに、新製品があると思われます。改めて、企業の新価値創造を期待します。