新製品・新事業テーマの創出 ”価値創造と経営管理の同期化”
JITの概念
企業活動の目的は、価値創造であると言えます。一方、その価値を高いQCDを持って、市場に提供しなければならないという宿命を帯びています。価値を設計し(開発)、市場に供する形に仕上げる(生産)活動は両輪です。それらを通して、顧客に高く評価される価値創造をすることが企業活動の焦点です。それらは、しばしば別個の経営管理によって行われると見られがちですが、それは大きな誤解であると言えます。
例えば、トヨタさんが提唱したJITは、生産の仕組みとしては最もよく考えられたものとみなされています。その管理の中心的な考え方は、ムダの排除です。ムダの排除は、価値創造を最大化問題として捉えたとすれば、線形計画法における最大化問題の双対問題、すなわちオポチュニティコスト最小化の考え方であるとも言えます。つまり、価値創造を裏から見るアプローチです。そこにおける実践原理では、アルゴリズムに代わって同期化概念が非常に大きな役割を果たします。それが、経営管理原理として浸透していないとJITは効果を上げないし、競争上から見ても有効とはいえません。
価値創造と経営管理の同期化
一方、製品開発現場に起きている現実の問題を考えますと、開発に関わる活動の非同期性を内在化させる仕組みに原因があります。それは各活動の価値創造への関わり、そしてそれら活動の難しさ(リスク)の両方について評価をした上で活動の括りの定義と、それらの配列(プロジェクトネットワーク化)をする力量が弱いところに原因が潜んでいるからです。最終的には、同期化概念を管理において中心に置いているかどうかによって、その開発の巧拙がかかっていると言えます。
言い換えますと、同期化を経営管理の機軸に据えることを組織に徹底させて経営をしている企業は、生産活動も開発活動も同等に他社よりもうまく行う可能性は高いし、トータルとして破綻が少ないと言えます。価値創造という視点から、さまざまな活動への分割とそれらの統合を行うことが、経営管理の最大のテーマであると言えます。その基礎的概念は、まさに同期化です。それに真摯に取り組む企業は、JIT操業の考え方と製品開発は異質な活動であるとは考えないはずです。