グリーンリカバリー技術 ”水素エネルギーと国境炭素税”
水素エネルギーと電気分解
クリーンエネルギーの筆頭に、水素エネルギーを掲げることは周知の通りです。また、水素エネルギーを使うことが世界的な流行になっていることも事実です。ものつくり論から言えば、水素はH2なので単純に水(H2O)を電気分解して酸素(O)を分離させればたくさんの水素を作り出すことができます。しかしながら、電気分解させるときに、 物理的な因子から見れば、1の電力を生産するときに10倍の水素を消費することになります。 つまり、10:1という構図になるわけです。この構図から見ても、経済構造という枠組みをはるかに超え、誰がその補填をするのだろうかとふっと思う次第です。
水素エネルギーと脱炭素化
しかしながら、技術の進歩ははるかに早く、5:1ぐらいまで比率圧縮が可能になれば、採算性に近づける事ができるのではないかと予測します。現代のガソリンの価格に例えますと、ガソリン1リットル150円のところ、水素では 1リットル750円 リットル(例えばの表現)となり、かなりの部分を国が補填することになるのでしょうか。
こうした価格上昇を国が補填するのではなく、EUでは国境炭素税を考えているそうです。国境炭素税は、ものを生産するときに排出するCO2の重量に応じて課税する方法です。つまり、EU域外からの輸入に際して生産時のCO2排出量が少なければ課税率が低く、多ければ課税率が高くなるという仕組みです。この仕組みよって、もし国の補填が必要であればその財源に国境炭素税を当てるということでしょうか。
このようなことに鑑みますと、水素自身はCO2を排出しませんが、水素を生成する段階で多量のCO2を排出しますので、クリーンエネルギーには水素が一番というスローガンを上げる前に、生成過程におけるCO2の排出量を明確にすることが重要と思われます。