グリーンリカバリー技術 ”消えゆく脱炭素化2030年のシナリオとCCUDM”
国連レポートと温室効果ガス
10月25日に国連が公表した脱炭素化に向けた温室効果ガスの削減目標によりますと、2030年の排出量は現時点との比較で10%増加するとのことです。猫も杓子も脱炭素化のスローガンを掲げてから、1年も立たないうちに、削減どころか増加になってしまうわけです。この背景を考えますと、ここ数カ月間に起きた天然ガス価格の約20%の高騰によって、石炭火力への後戻りがその大きな原因のようですが、本当のところはCOVID-19の影響で縮小した経済が、急激に回復しつつあることが伺われます。丁度、2009年のリーマンショックの翌年に、経済の急回復を支えた製造業の躍進と物流の増加によるトラック台数の増加などが、温室効果ガスの排出量を増加させた現象と同じように思います。
つまり、恒常的な経済成長を持続しているときには、温室効果ガスの削減量を定性的な見方で上げることはできるでしょうが、リーマンショック、あるいは今回のCOVID-19のように有事的な現象が起きますと、温室効果ガスの削減量の数値化はどこかへ吹き飛んでしまうとでも言いましょうか。ある意味では、ここに来てやっと脱炭素化という言葉に舞い上がっていた現象から、現実を直視する世界へ向かうことができる時期が到来したと言えるのではないでしょうか。
消えゆく脱炭素化2030年のシナリオとCCUDM
このようなことに鑑みますと、やはり重要なことは、有事的な現象が起きても、それに対処できる技術が必要になるでしょう。しかしながら、国連の公表した温室効果ガスの増加ということを考えますと、現状では温室効果ガスを削減するための効果的な技術は無いに等しいということを物語っているのかも知れません。今後もCCUS、CCS及びCCUDM( Carbon dioxide Capture, Utilization, Disposal and Mitigation) の継続的な開発が重要と思います。
今月31日にグラスゴーで始まる第26回締約国会議(COP26)に、数値論だけでなく、実質的に削減できる技術ついての採択を期待したいと思います。